瞳の片隅に初恋を感じる16時からの それもあ里っ沙

ハロヲタのための24のガヴォット第16番ホ短調

[16族の元素]硫黄の酸化数

arisa00162008-11-13


硫黄という元素は有名な割に随分変なイメージが定着してる。
硫黄原子は価電子が6なので
硫黄は −2 から +6 までの酸化数をとるわけだが
酸化数によって全く違う姿を見せるといっていい

地球には豊富な酸素があるため
このような環境下では 酸化数 +6 が安定で ついで0
+4 とか −2 とかはやや不安定で酸化還元反応をおこしやすい

酸化数+6の硫黄は硫酸塩として地球上に広く分布し安定に存在する
硫酸イオンは通常の条件では酸にも塩基にも酸化剤にも還元剤にもならない
ただほとんどの人は硫酸塩を 硫黄 だとは思っていないようで
硫酸ナトリウムの入浴剤には
”本品にはイオウ成分は含まれていません”とか書いてある(w)

たぶん世の人のいう イオウ というのは硫酸塩でも単体でもなく
酸化数-2の硫黄 なんだろう
硫黄のにおい というのは たいてい硫化水素のことだ

酸化数+4の硫黄は安定な+6に酸化されやすいから還元剤となることが多いけど
強い還元剤に対しては酸化剤として働き単体の硫黄(酸化数0)に還元される

酸化数-2の硫黄は強力な還元剤で単体の硫黄(酸化数0)に酸化されやすい


ところが嫌気性の条件では硫黄は酸化数-2になることが多く
硫化水素や各種の有機硫黄化合物を生成して悪臭を発する
その印象が強烈なせいか 酸化数-2 の硫黄が記憶に残るのだろう



・酸化数-2の硫黄
硫化物イオン および 硫化水素
硫化水素は極めて弱い酸で硫化物イオンとの平衡は強塩基性条件でない限り硫化水素のほうに偏る
要するに硫化物イオンが存在するとき中性〜酸性条件では必ず硫化水素が発生する。
硫化水素は1ppm未満でも特有の腐卵臭でその存在がわかるが
高濃度では神経が麻痺するため臭気を感じなくなるため大変危険
1000ppm以上では意識を失って即死といわれるが当然個人差もあるし
素人が不用意に発生させた場合すみやかに高濃度になることなないので
自殺の目的で発生させたとしても1000ppmに至らず長時間苦しんで死ぬ可能性が高いのみならず
ほとんどの場合周囲の人間を巻き込む結果になり、その際の悪臭は広い範囲に迷惑を及ぼす
生物の体を構成するタンパク質は構成元素として硫黄を含んでいるため
これらが嫌気性条件で腐敗分解した場合には硫化水素をはじめとする
さまざまな有機硫黄化合物が生成するためとてつもない悪臭を発することが多い
化学的には 酸化数-2の硫黄 は強力な還元剤で自身は酸化数0の硫黄すなわち単体に酸化される
金属硫化物の溶解度積はイオン化傾向の小さな重金属ほど小さくなる傾向があり
これを利用して定性分析における分属が行われる
銀 銅 水銀 鉛 などは酸性条件でも硫化物を沈殿するが
鉄 亜鉛 などは中性から塩基性条件にならないと沈殿せず
アルカリ土類やアルカリ金属はいかなる条件でも沈殿しない



酸化数0の硫黄
単体の硫黄は 斜方硫黄 単斜硫黄 ゴム状硫黄 などの同素体があるが
いずれも常温で固体でありにおいはそれほど強くない
世間でいう 硫黄のにおい はたいてい酸化数-2の硫化水素であることが多い


酸化数+4の硫黄
単体の硫黄を燃焼すると酸化数+4の 二酸化硫黄 が生成する
二酸化硫黄が水に溶けると 亜硫酸 を生成するが これは中程度の酸
空気中で徐々に酸化されて酸化数+6の硫酸になる
ただ硫化水素のような強い還元剤に対しては酸化剤としてはたらき酸化数0の硫黄になる


酸化数+6の硫黄
好気性条件下ではもっとも安定で天然にさまざまな硫酸塩として存在する
水圏では硫酸イオンとして存在するが豊富に存在するアルカリ土類と難溶性の塩を作るため
これらの塩として存在していることが多い
硫酸は強酸であり水溶液中でほぼ完全に電離し
硫酸イオンは通常の条件では酸にも塩基にも酸化剤にも還元剤にもならない
硫酸が酸化剤として作用するのは熱濃硫酸のときのみでこのときは+4に還元され二酸化硫黄になる






よく 硫化水素のにおいを 卵のくさったようなにおい と表現するけど
今の子供たちは卵を腐らせたことなんかないんじゃないだろうか



20年以上も前のことだけど


硫化水素のにおいがした


しかも


自分の机の周辺が1番強い



なんと 机の中で



本当に卵が腐っていた





半年くらい前の喫茶店のモーニングサービスの卵だった