瞳の片隅に初恋を感じる16時からの それもあ里っ沙

ハロヲタのための24のガヴォット第16番ホ短調

酸素の酸化数

酸化数 という概念は 
酸化還元反応を統一的に理解するのに便利なんですが
かなり割り切った考え方(すべての結合をイオン結合とみなす)なので
有機化合物のように電気陰性度に差のない共有結合には適用できません
この考えが使えるのは電気陰性度の差が大きい共有結合やイオン結合
特に酸素と他の元素が結合するとき
酸素はフッ素についで電気陰性度が大きいので
酸素と結合する=電子を失う=酸化された(酸化数が増えた)
ということになるからです。

たとえば塩素は電子配置が 2−8−7 ですから
2-8-8 となった塩化物イオン(酸化数−1)が安定で
たいていの元素は塩素より電気陰性度が小さいので
ほとんどの化合物中で 酸化数−1 であり
単体(酸化数0)は強い酸化剤として働くわけです。
ところが酸素と化合すると
HClO(酸化数+1) HClO2(酸化数+3) HClO3(酸化数+5)HClO4(酸化数+7)
のように酸化数が増えていく(酸素が電子を奪っていく)わけです。

それでは酸素自体の酸化数はどうなっているのでしょう
酸素はフッ素以外のすべての元素より電気陰性度が大きいので
常に電子を奪う立場です
電子配置は 2-6 ですから
2個電子を奪った 2-8 (酸化数−2)の状態が安定です
だから

化合物中で酸素は常に酸化数−2   ということになるわけです。

フッ素と酸素の化合物 というのはかなり特殊なので考えなくていいですが
問題は 酸素-酸素 の結合がある場合です
この場合電気陰性度は互角なのでどちらの酸素原子も電子を奪うことはできません
単体の酸素 O=O の場合は他の元素と同じく

単体は常に酸化数0  という最優先の原則に従います

過酸化水素 H-O-O-H  の場合
左側の酸素原子は水素原子から1つ奪えるけど酸素原子からは奪えないので酸化数−1
右側の酸素原子は水素原子から1つ奪えるけど酸素原子からは奪えないので酸化数−1
どちらも酸化数−1 になります

まとめると酸素は
単体(酸素やオゾン)は酸化数0
過酸化水素は酸化数−1
フッ素と酸素以外としか結合していない化合物はすべて−2
となるわけです。