瞳の片隅に初恋を感じる16時からの それもあ里っ沙

ハロヲタのための24のガヴォット第16番ホ短調

硫酸塩の電気分解

arisa00162009-07-23


硫酸塩の電気分解はよく問題にとりあげられることが多いのですが
陽極での反応は電極の種類により
陰極での反応は陽イオンの種類によります。

陽極での反応
1.不溶性電極(白金や炭素)の場合
硫酸塩の水溶液中には硫酸イオンと水分子があるわけですが
硫酸イオンは酸化されることはありません。
(硫酸イオンはきわめて安定で酸にも塩基にも酸化剤にも還元剤にもなりにくい)
硫酸イオンよりも水分子のほうが酸化されやすいため
水分子が酸化されて酸素を発生します。

2H2O  →  4H+  +  4e−  +  O2

発生する酸素は電子4molあたり1molなので
電子1molあたり0.25mol(標準状態で5.6L)の酸素が発生します。 

2.陽極が銅の場合
この場合は電極の金属が電子を失い陽イオンになって溶け出します


陰極での反応
1.陽イオンがアルミニウムよりイオン化傾向の大きい場合
陽イオンが電子を受け取ることはないので
水分子が電子を受け取って還元され、水素を発生します。

2H2O  +  2e−  →  H2  +  2OH−

発生する水素は電子2molあたり1molなので
電子1molあたり0.5mol(標準状態で11.2L)の水素が発生します。 


陽極が不溶性電極の場合結果的に水の電気分解になり
溶液のpHは変化しません



2.陽イオンが銅の場合
陽イオンが電子を受け取り銅になって陰極に析出します。
陽極も銅なら溶け出す量と析出する量が等しいので
金属イオンの濃度は変わりません


入試問題によく登場する銅の電解精錬では
陽極に粗銅、陰極に純銅を用いて硫酸銅(II)水溶液を電気分解します。
このとき粗銅中に含まれるイオン化傾向の小さい銀や金は陽極泥として沈殿し
逆にイオン化傾向の大きい金属はイオン化したまま溶液中に残ります。
さらに溶液中に硫酸イオンが存在するため鉛は硫酸鉛(II)として沈殿するわけです。